導入事例

「ソーシャルイノベーション」を掲げるコワーキングスペース「co-ba」

そこは、未来を作る場――「ソーシャルイノベーション」を掲げるコワーキングスペース「co-ba」
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東京・渋谷にできたコワーキングスペース「co-ba」。2012年12月にオープンしたばかりだが、新しい生き方や未来を作ろうとクリエイターが集まり、既に入居枠が埋まった。週末にはさまざまなイベントを開催し、多種多様な人が集まる空間として活況を呈している。

co-baを作ったのは、株式会社ツクルバの村上浩輝さん、中村真広さんである。2人によるとco-baは、「社会をより良い方向に導くソーシャルイノベーションが起きる場」だ。ではなぜオープン直後から人がこんなにも集まるのか、どんな思いが形になったコワーキングスペースなのか......。co-baの成り立ちと今、そして未来像を聞いた。

異なる人が、自然に会話する場所を作りたい

クリエイターが集まるコワーキングスペース「co-ba」ができるまでのいきさつを教えて下さい。

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co-baを運営する株式会社ツクルバの村上浩輝さん(左)、中村真広さん(右)

中村:私は大学院で建築を学び、ナイキジャパンによる宮下公園のプロデュースにかかわってきました。これらの経験から、単に建物や空間を設計するだけでなく、人々が場に集う「仕掛け」を作る方が面白いと感じるようになり、大学卒業後はデベロッパーに就職しました。

しかし私が働き始めた当時は不動産不況などがあり、結果として新入社員の多くが辞めることになってしまいました。当時は本当に想定外だったのですが、同時に「何かやらないと」という気持ちが芽生えました。そんな時に、同じ会社にいた村上と時間を共にするようになりました。学生時代、村上はダンスや音楽などのイベントを、私は主にデザイン関連の展示会を開催していました。

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中村さんが池袋に開設したカフェ

「二人の特性が混ざり合うイベントを一緒にやりたい」――。ハコ(場所)は決まっていないのに、思いだけはありました。転職をして約1年後、仲間たちと池袋でカフェを開きました。2011年2月のことです。

このカフェは本当にゼロから店舗を作りました。設計はもちろんのこと、店員として接客もしていました。カフェ運営を経験し、「>お客様の笑顔が直接見られるって最高だ」と強く感じたのです。そのうち、カフェの運営が本職よりもおもしろくなり、意を決して転職先のデザイン会社を辞めました。そして2011年8月に株式会社ツクルバを設立したのです。

株式会社ツクルバとして作ったコワーキングスペースが「co-ba」ですが、実際に完成するまでにどのような姿を目指していらっしゃったのでしょうか。

中村:ツクルバでは村上がビジネス、私がデザインの仕事を分担しており、二人の専門畑は異なります。それが次々と新しいアイデアを生み出すことになっていきました。

そこで感じたのは、境遇の異なる人同士が仕事でタッグを組むと力になるということ。お互いが顔見知りだったら、すぐに依頼ができますよね。

「異なる立場の人が集い、自然に会話が生まれる場所を作りたい」――。ツクルバでは漠然とこんなことがしたいと思っていた時に、「コワーキング」という言葉に出会いました。これこそ自分たちが目指す道だと感じたのです。

村民と旅人が交差するネオ村社会

ここで始めてコワーキングという言葉に出会ったのですね。ツクルバの方向性が見えてきたのだと思います。そこからco-baの設立まではどのような過程があったのでしょうか。

中村:すぐさま、コワーキングで盛況だったサンフランシスコの視察に飛び立ちました。情報の通り、大きく盛り上がっていたのですが、サンフランシスコのコワーキングスペースは「ITによるITのための場所」が多いと感じたのです。

それ自体はとても素晴らしいことですが、村上と私が、すなわちツクルバが目指していたのは「世の中や社会に対するイノベーションを起こす場」でした。そこはITに加え、建築やデザインなどの異分野の人が集まり、ものづくりにこだわらずに、世の中を良くする枠組みをデザインできる場にするということでした。リチャード・フロリダのクリエイティブ・クラスのように、多彩な才能が集まり、次の働き方を模索できる場所にしたかったのです。

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co-baの様子

サンフランシスコを視察して、自分たちが作りたい場所が明らかになりました。そしてできたのがクリエイターのためのコワーキングスペース「co-ba」です。

co-baは、ソーシャルイノベーションを起こしたい人が集まる場所です。来てくれる人は、当事者意識を持って社会を良くしていこうとする思いがある。各人が「 マイプロジェクト」を持ち、つながりあい、新しい働き方を模索しています。

そしてco-baは、場所を共有する人たちがつながりあうための触媒となり、来てくれる人に何らかの刺激を与えていきたいと思っています。

co-baは単なるコワーキングスペースにとどまらず、目的意識を持ったクリエイターが集まる場にしたいということですね。

中村:co-baが目指すのは「ネオ村社会」です。例えば、画一的な働き方をする人がたくさんいるコミュニティを「村社会」だと定義すると、「ネオ村社会」は集まる人のさまざまな働き方を尊重しあい、新しい価値を生み出していくコミュニティです。co-baはネオ村社会のイメージを具現化したコワーキングスペースです。

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co-baにある黒板には、来訪者が自由にメッセージを書き込める

根底を流れるのは、社会をより良い方向に導こうとする「ソーシャルイノベーション」という考え方です。この方向性はco-baを作ると決めた時からずっとぶれていませんし、この点に共感してもらえる人にco-baに来てもらいたい。そう考えています。

一方で、同じ人がずっと居続けるようでは、コミュニティに持続的な成長がもたらされません。1日限定でスペースを使ってもらう「ドロップイン」で来てくれる「旅人」も、co-baにとっては重要なのです。

co-baは常に変化し続けていきたい。だから私たちはいつも「半仕上げ」であることを良しとしています。ゼロから作ったco-baも、今はまだ完全ではありません。完璧な空間を作ってしまうと、場の世界観ができ、来てくれる人が「押し付けがましい」と感じることもあるかもしれませんので、常にco-baを作り続けていくという気持ちを持っています。

実際にco-baがスタートしてわずか数カ月ですが、どのような滑り出しでしょうか?

中村:開店から数週間が経ち、ドロップインのニーズが予想以上に多いことが分かりました。われわれは長くco-baを使ってくれる入居者を先行募集していたので、「旅人」が多く来てくれることに驚きました。また入居者同士が仕事を紹介しあったり、飲みにいったりするということも起こり始めました。

まだ始まったばかりですが、コワーキングスペースとして機能し始めていることを実感しています。

サイボウズLiveは、co-baを作る人たちが集うもう1つの場

co-baでは、入居者との情報共有に無料コラボレーションツール「サイボウズLive」をお使いいただいています。具体的な活用法を教えてください。

中村:サイボウズLiveを使い、co-baを運営する私達と入居者が参加するグループを作っています。自己紹介は「掲示板」機能を、co-baの会議スペース予約には「グループイベント」を活用していますね。

またco-baのスタッフのみが参加するグループを別に作り、運営タスクを「ToDoリスト」で管理しています。現在は、co-baにかかわる人たちとの情報共有のために、基本的な機能を使っています。

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co-baの情報共有には、サイボウズLiveの「掲示板」を使っている

情報共有ツールはその他多くありますが、サイボウズLive以外にも何か使っていらっしゃいますか?

中村:リアルタイムに連絡を取り合う場合は、Facebookグループを使っています。ただ入居者にはFacebookを使っていない人や、ソーシャルメディア上で情報共有をしたくないという方もいらっしゃいます。その点、サイボウズLiveは招待したメンバーだけに限定されたグループでコミュニケーションができるので、安心して活用いただいています。

また、設備予約機能が標準で備わっているコミュニケーションツールはサイボウズLiveだけですし、当日の予定や新着情報がメールで届くアラート機能もあるので、重宝しています。

併用しやすいように、FacebookやTwitterとの連係、Googleカレンダーとの双方向同期ができるようになればうれしいです。

新しい社会価値を作る、それが原動力

ありがとうございました。最後にco-baの今後の展望やコワーキングに対する期待を教えて下さい。

中村:東京だけでなく、都心から離れた場所で新しい働き方ができる場所を作っていきたいと考えています。専門領域に閉じがちな学校や研究所のようなものではなく、もっとオープンで人生を豊かにする学びが得られる場作りを目指しています。これは、co-baを作る前からもずっと持っている思いです。

村上:ツクルバとしては、「新しく面白い、まだ見たことのない価値」を作っていきたい。それはコワーキングスペースだけにとどまりません。軸にあるのはあくまでも「ソーシャルイノベーション」、社会を変革するために挑戦をしていきます。

co-baに来た人の働き方が変わったとすれば、その人の価値観や生き方が変わったということです。それは、その人の生活がより良いものになったと考えることもできます。これもソーシャルイノベーションの1つの形です。それを「コワーキング」という形態で実現し続けられればいいし、コワーキングという枠組みにとらわれなくてもいいと思っています。

コワーキングはあくまで、場所を問わず誰もが実現できる新しい働き方という共通認識を作るための言葉です。私たちは生活、そして人生が豊かになるような新しい価値を発見し、作り続けていきたいです。

(2012/01/26)

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