導入事例

Web制作業界の「人と人をつなぐ」――CSS Niteを支えるサイボウズLive

Web制作業界の「人と人をつなぐ」
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CSS Niteは「Web制作者にとって有益なトピック」の共有を目的としたセミナーイベントだ。Web制作やWeb担当者にはおなじみのイベントであり、開催したセミナーは200回以上、参加者数はのべ3万人を超えている。

同イベントの運営を仕掛け、Web業界の進化をけん引してきたのが、鷹野雅弘氏(株式会社スイッチ)である。CSS Niteの運営に加え、Web制作や書籍執筆など、常時20以上のプロジェクトを回している。鷹野氏からは、種々の関係者を巻き込み、動かす"実行力"が伝わってくる。

そんな鷹野氏の仕事の屋台骨を支えているのが「サイボウズLive」だ。コラボレーションツールを巧みに使い、CSS Niteに懸ける思いとWeb業界の人々の期待を力強く紡ぎ続ける。

Web業界をより良い場所に――CSS Niteに込めた思い

鷹野さんはCSS Niteを立ち上げ、Web業界をけん引する立役者としてご活躍なさっています。CSS Niteが誕生して今に至るまでの経緯や、イベントに対する思いをお聞かせください。

鷹野:CSS Niteが産声を上げたのは2005年10月です。それまでは単発で出演していたのですが、「シリーズものをやってみませんか?」とアップルストア銀座から提案を受けました。取り組んでいたCSSについて、僕はホストとして「自分が話を聞きたい」という方をキャスティングしました。当時ブログが流行り始めたこともあり、登壇者や参加者同士が「あのブログを書いている人がいる!」と交流するようになったのです。

今でいう「コラボレーション」の場になっていたのかもしれません。この(人と人がつながる)化学反応は面白いなと思いました。その後はテーマを設けた長時間のセミナーを開催するなど、僕はイベント運営に注力していったのです。その結果、半年、1年と続くイベントに育っていきました。

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CSS Niteの様子

ご自身の学びをきっかけに始めたCSS Niteが、Web業界の人同士をつなぐ場として機能していったのですね。その積み重ねが支部の設立、ひいては全国展開につながっていった。

鷹野:Web制作業界に限らない話ですが、良質な情報を受発信できる場所は、東京と地方で大きく分断されています。現在、東京と地方では「人と人とのつながり」が生まれる機会や数に差があり、それを少しでも解決できればと思っていました。そこで、これまでのノウハウやモデルを横展開し、名古屋や大阪でもCSS Niteを開催してきたのです。

「地方イベントは人が集まらずに失敗するのではないか」と思っていましたが、いざ開催すると50人、100人と集まっていただける。同業界の人とつながりたいという思いは、どこにいっても同じなのですね。それ以降、地方開催のCSS Niteでは現地の方が運営主となり、僕はイベントのノウハウやドキュメントの共有に徹してきました。

今ではCSS Niteの開催は200回を超えるなど、Web業界の耳目を集めるイベントとして存在感を放っています

鷹野:僕自身は長らくWeb制作やグラフィックデザインの仕事に携わってきました。大切にしてきたことは、クライアントであるお客様、そして成果物であるWebサイトを活用するユーザーを理解し、お客様の想定以上の提案をすることです。

CSS Niteを始めたきっかけは、「僕自身がWeb制作について勉強したいから、あの人の話を聞きたい」という個人的な思いでした。しかし、運営していく中で自ずと、イベントの参加者の想像を上回る価値を提供したいという考えに変化したのかもしれません。

今ではイベントを告知するだけで、多くの方に集まっていただけるようになりました。「CSS Niteでつながった方の会社に入ることになりました」などと言っていただけると、素直にうれしいですね。

"すさむ"プロジェクト、メールの限界あらわに

鷹野さんはCSS Niteに加え、本業のWeb制作や書籍執筆といったプロジェクトを複数進行しているとお聞きしました。各プロジェクトチームの情報共有や進ちょく管理はどうやっていらっしゃったのでしょうか?

鷹野:基本的にメールやメーリングリスト、「Googleグループ」を使っていましたが、僕が受け取るメールは1日当たりざっと300件以上。メンバーから「了解しました」というメールが来ると、未読メールがたまってしまいます。また「これ何だっけ?」と思ったメールをすぐに探すことも難しかった。

ロフトワークの林千晶さんは「メールは1:1のやりとりに向いているが、1:Nになると情報量が階乗的に増えていく」とおっしゃっていました。まさにその通りで、プロジェクトメンバーも同様に感じていたのではないでしょうか。

そのせいか、MLでのメンバーの発言が減り、ML全体が「すさんでしまう」こともありました。返信が少なくなればメンバーのモチベーションが下がり、プロジェクト全体の雰囲気が沈んでしまう。そんな懸念が常にあったのです。

Web制作などのプロジェクトの情報共有は、今でもメールが主流なのだと思います。しかし、迷惑メールが多く、大事な情報を見落としてしまうケースも増えています。情報共有のツールとして、メールはもう限界なのかもしれません。

メールに代わるプロジェクト管理ツールや情報共有ツールについては、ご検討されていたのでしょうか。

鷹野:情報共有ツールとしてFacebookやTwitterを試してみましたが、情報がフローで流れていくため、過去の情報を確認しにくいことが分かりました。「Backlog」などのプロジェクト管理ツールの導入も考えましたが、ツールを変えると仕事のやり方が変わり、一時的に生産性が下がることは自明でした。そのため、(本格導入を)ためらっていたのです。

既読連絡は「いいね!」するだけ 確認作業を瞬時に

こうした中、プロジェクト管理ツールとしてサイボウズLiveをお使いいただいているとお聞きしています。改めて、活用法を教えて下さい。

鷹野:サイボウズLiveは知人の紹介で知りました。せっかくの機会だったので、「まずは試しに」と使ってみました。最初は手探りだったのですが、使い始めてすぐに、情報の共有や確認がメールに比べて楽だということが分かってきました。

例えば、掲示板のスレッドにインラインで画像を挿入・表示できる点はいいですね。キャプチャした画像を掲示板に添付すると、メンバーは添付データをわざわざ開かなくても確認できます。メールの場合、添付データを開かないといけません。あと、「あのデータ、どのメールに添付されていたんだっけ?」と受信メールを探す手間が減ったことは大きいです。

メンバーに使ってもらうために、どのような工夫をしましたか?

鷹野:プロジェクトメンバーには「半強制的」に使ってもらうようにしました(笑)。工夫した点としては、「掲示板」を重点的に使った情報共有を進めているところでしょうか。トピックに必要な情報を書き込んだり、提出物にフィードバックを残すといった使い方が主です。

掲示板のトピックは、「雑談」「企画・相談用」「告知・申し込み」「ちょっとしたやりとり」など、10以上の項目に分けています。実際に使ってもらうと、メンバーは「やっぱりこれいいね!」と言ってくれますし、掲示板の書き込みから仕事のアイデアが生まれることもあります。

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掲示板のトピック名を決め、プロジェクトの進行度合いに応じて各掲示板で情報を共有する

一方、「ToDo管理」や「共有フォルダ」はあまり使っていません(笑)。添付ファイルは共有せずに、掲示板のコメントに添付することが多いです。それでプロジェクトは円滑に進みます。

鷹野さんが伝道師となって、メンバーにとってサイボウズLiveを使いやすい環境を作っていったのですね。

鷹野:使いやすかったので、自然と人に勧めてしまうのかもしれません。現在、CSS Nite全体/名古屋や大阪などの支部/書籍執筆・編集やWeb制作など20以上のグループを作っています。サイボウズLiveでやりとりをしている関係者は100人を超えました。サイボウズLiveを使い続けることで、「メールが1通もない状態」実現するのではないかと感じるようになりました。

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鷹野さんが入っているグループは20を超える

メールからサイボウズLiveに移行する上で、特にキーになった機能はありますか?

鷹野:「いいね!」ボタンですね。いわゆるFacebook的な「いいね!」ではなく、コメントを読んだことを手軽に知らせるために、「いいね!」ボタンを押すことをローカルルールにしています。メールのように「了解しました」と連絡する必要はありません。MLだとメールが増えるので躊躇(ちゅうちょ)してしまいがちですが、これだと特にコミット度の低いメンバーが「とりあえず、状況は把握してくれているんだな」と安心できるようになりました。僕自身は、常に進ちょくを把握しておきたいプロジェクトに対して、コミットの度合いが高まりました。

「いいね!」はメンバーに自動通知されるため、全員でプロジェクトを進めているという一体感が可視化されます。担当者はプロジェクトの進み具合を直感的に理解でき、安心感を持つと思います。いいね!を見ていると、業務に対する当事者意識も強まるのではないでしょうか。

各掲示板には、『いいね!ボタンは「読んだよ」ボタンとしてご利用ください』とただし書きをしているほど。それだけよく使っている機能です。

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読んだコメントにはいいね!で応える。フッターナビには、プロジェクトメンバーからのいいね!が集まっている

サイボウズLiveで改善すべき点、欲しい新機能はありますか?

鷹野:複数グループに参加している人向けに、グループのアイコンを用途ごとに色分けできるといいですね。優先順位や仕事の種類に応じてアイコンを赤色や青色にタグ付けをするイメージで、グループやプロジェクトを視覚的に把握できれば、より使いやすくなるかもしれません。

サイボウズLiveは鷹野さんのプロジェクト管理にどういった効果をもたらしましたか。

鷹野:プロジェクトの全体像を全メンバーが把握できる点は効果的ですね。例えばクライアント企業とWebプロデューサー/ディレクターのやりとりは、掲示板で可視化されます。プロジェクトを実際に進めているコーダーやマークアップ担当の人も、プロジェクトの背景や意図を確認しながら、仕事ができるようになりました。

僕は、上下関係を作らずフラットに仕事に取り組みたいんですね。サイボウズLiveによって、みんなが「一体感」を持ってプロジェクトを回していけるという点が、改めてクリアになったかなと感じています。

Web制作の地位向上を図り、Webの世界をより良いものに

ありがとうございました。最後に、鷹野さんの今後の活動やWeb業界の展望についてお聞かせください。

鷹野:株式会社スイッチを創業して16年、Webには10年以上コミットしてきました。そして今、「Web(サイト)はまだまだ生活に根ざしていない」という事実を実感しています。

例えば定休日や営業時間、アクセスマップといった基本情報を見つけにくいWebサイトは、まだたくさんあります。お店に興味を持ったユーザーがそのサイトに訪れたら、どう感じるでしょうか。Webには、改善の余地が多く残されているということです。

現状を変えるには、Web制作に携わる人がユーザー視点を持ち、生活に必要なWebを作ることに尽きると思います。Web制作はサイトという完成品に対価が発生する「成果主義」の側面が強く、「サイトを納品して終わり」というのが一般的でした。しかし、今はアクセス解析で効果を測定し、数字に基づいてサイト改善やコンテンツ企画を行うことが標準になりつつあります。潮目が変わっているのですね。

Webサイトを掘り下げ、より良いものにしていこうとする提案が求められているのですね。こうした取り組みの積み重ねが、Web業界の進化につながっていくと。

鷹野:Webが生活の必需品にならないと、Web制作業界の地位は上がりません。僕はWebが好きだから、生活に根ざすようになってほしいし、Webの世界がもっと良くなってほしい。そのためのWebを作っていきたいし、Web制作者の手助けがしたい――。こんな思いを胸に秘め、仕事に臨んでいます。

(2011/08/18)

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