導入事例

立命館宇治高等学校 様

サイボウズLiveを活用してアクティブラーニングを実践

一人の先生に教えてもらう時代は終わりました
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先生が一方的に教える授業ではなく、生徒同士の活動を通して授業を進める「アクティブラーニング」に、サイボウズLiveを活用している学校がある。
文部科学省が定める国際的に活躍できる人材育成を行う学校「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」指定校の立命館宇治高等学校だ。

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SGH指定校の立命館宇治高等学校

実践したのは国語の授業。夏目漱石の「こころ」や中島敦の「山月記」を3〜5名のグループで議論する。

田内:アクティブラーニングは、話し合った部分の理解が深まるという長所がある一方で、他のグループの活動を子供達が知る機会が少ないという問題点がありました。

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国語科 田内雅人(たうちまさと)先生。
今やっている教育が社会に逆行することのない環境でありたいと考えている。
キャリア教育も担当している。

小澤:生徒達の学びの深化のために、ICTを積極的に活用できないかと考え、サイボウズLiveを活用してアクティブラーニングを実践することにしました。

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国語科(IB文学)小澤大心(おざわこころ)先生。
視察で訪れたドバイのインター校での授業に衝撃を受ける。
日本人の技術力をもっと生かしてICTに前向きに取り組んでいきたいと感じている。

掲示板、スケジュール、チャットが一つのツールで完結することが決め手

小澤:教室の黒板が掲示板になり、自分の予定がスケジュール機能で確認でき、班活動がグループチャットになり、必要な資料がファイルに収まる。
先生に相談ごとがあれば、個別チャットがその役割を果たしてくれる。提出物はポストに入れなくても、添付ファイルでいつでも提出可能。
これが一つのシステムに集約されていることがサイボウズLiveの良さだと感じています。

サイボウズLiveを使ったアクティブラーニング

田内:「山月記」は、「なぜ李徴が虎になったのか」「李徴が作った詩に欠けているものとはなにか」といったことが問題点となります。 今回の実践では、問題点を議論することにしました。

小澤:最初は、クラスのグループを作成し、生徒全員に招待メールを送るところからはじめました。 生徒には学校がメールアドレスを配布しているため、メールアドレスは把握できていました。

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小澤先生のサイボウズLiveホーム画面

田内:掲示板を作成し、次の時間で扱うディスカッションのテーマと着眼すべき点を書き、生徒には事前に読んで次の時間までに自分なりに意見を持つように促しました。


田内:授業では、3〜5名のグループに分け、グループ毎に「テーマチャット」を作ります。全てのグループのテーマチャットには、私もメンバーとして入ります。 テーマチャットでは、自分が考えた意見をチャットに書くように指示しました。
口頭で意見を言うことも大事ですが、口頭でいうとすぐに消えてしまうため、大事だと思った事はすぐに書き込むように指示しました。

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お題「李徴の詩に欠けているモノとは何か」の右側に、
グループでの議論を示すテーマチャットがどんどん上がってくる。

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議論のファシリテーターや書記は持ち回り

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テーマチャットに意見を記入

田内:グループである程度意見がまとまったら、「掲示板」に書くように指示をしました。
こうすることで、「テーマチャット」にはグループの個人の意見、掲示板にはある程度まとまったグループの意見が書かれることになります。

学習履歴のアーカイブ化、学びの共有は期待どおり

小澤:学習履歴のアーカイブ化が期待出来るのではないかという気持ちではじめました。
板書の場合、板書だけで大きな時間をとられてしまい、いくつかのグループの発表が白熱して他のグループは時間切れ、せっかく書いた板書を消してしまう、ということがあります。
サイボウズLiveを使ったアクティブラーニングの場合は、万が一に時間切れになったとしても、発表内容や議論の過程が残っているので、後から教師がフォローすることが可能です。発表、議論の時間を有効に使えるようになりました。

また、議論の際に、場当たり的な発言で終わってしまう事があるのですが、チャットに書くことで意見としての履歴が残り、自分の発言に対する責任が出てくるようになりました。

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個人のスマートフォンでの参加も許可している。
「スマートフォン=遊びという固定概念があるだけで、スマートフォンは小さいパソコンである。
利用者のモラルは別途教育している。」
と小澤先生は言う。

田内:現在、サイボウズLiveを利用するクラスと利用しないクラスを研究事例として作っています。
何より感じることは、発言の量がサイボウズLiveを利用しているクラスの方が多いということです。
また、面白い発言をしてくれたグループがあった場合に、「掲示板に書いておくから一区切りしたらみておいてね」と他のグループの意見を共有することがあります。共有により議論が深まります。
アナログの授業の場合に他のグループの意見を共有する場合、選択肢なく一度議論を止めて全員に注目してもらう必要がありました。
アナログの授業では、もったいない時間が多いなと感じます。

予想しなかった効果

小澤:サイボウズLiveを使ったアクティブラーニングを実施するにあたり、「興味のある先生はグループに招待するので入ってください。」という形で始めました。
そうしたところ、国語の授業中に英語の先生がコメントしてくれたのです。「自分が習った時はこういう解釈だったな」のような形で。

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面白い議論がされているグループに参加する田内先生。

田内:今までは、生徒と先生のペアは決まっているのが当たり前でした。
生徒からすると、当たり外れがあることもあるかもしれない。また、先生の言っている事に納得ができない場合に、生徒はどうしようもなかったのです。
しかし、違う教師にセカンドオピニオンを求める事ができるという道が広がったのを感じました。

小澤:先生は万能であるべきという思いを誰しもが抱えているかもしれません。
自分は知らない、わからない、責任をもって言えるのかどうか、こういう発言をしていいのか、、、などと悩むこともあります。
それがサイボウズLiveを活用することで、教師間で悩みをフラットに共有できるのは良いと感じました。

田内:教員間の同意があれば、他のクラスの生徒にアドバイスを送ることが可能になります。
若手教員には本当に良い。ベテラン教員と若手教員の垣根を飛び越えることが可能になると感じます。

情報を見分けるセンスを養う

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理科コース主任 渡辺儀輝(わたなべよしてる)先生。
教室に古いポスターが貼りっぱなしなど、それぞれの担任の意識に依存してしまう状況を打開したいと思い、ICTに力を注いでいる。

渡辺:理科コースでは、アクティブラーニングの取り組みよりも一足先に、コース内の情報共有ツールとしてサイボウズLiveを利用しています。
イベント告知や生徒に役立つ本を紹介する掲示板などがあります。

最も人気なのが「生き方から考える進路」という掲示板です。
22年前のセンター試験はどうだったとか、こんな事を聞いたから生徒に知らせたいなど、先生達それぞれの人生観が出ている掲示板です。
「卒業生部屋」というのも人気です。立命館大学に進学した先輩が現状を教えてくれたり、高校生へのアドバイスを書いてくれます。

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稲葉芳成先生より、大学入試センターの日に投稿されたコメント:
付属校の諸君にはあまり縁のない話だが、案外これが後々に色々係るかもしれないのです。
...センター試験を受けていないことが、ノドに刺さった小骨のように気になる機会があることも事実です。...

渡辺:個人チャットも爆裂しています。授業で怒った後に、「さっきの件はわかってくれたか」といったフォローをすることもあります。
理科コース約140名の集団で、縦横無尽にサイボウズLiveを使いこなしています。
たくさんの情報の中から自分に有効な情報だけチョイスできるセンスを養うのは、高校生の段階では不可能に近いけれど、彼らはこなしている。 間違いなくトップ集団だと感じます。

情報を見分けるセンスは教えることができません。
個人の嗜好なので、最終的には自分で決めるしかない。その嗜好が正しいかどうかは大人になってから個人で確かめるしかない。
だから、発信側は情報の選別はしません。乱れ打ちです。何かひっかかればいいと思って、どんどん発信しています。

クラス、学校の垣根を超えたアクティブラーニングに挑戦

小澤:複数の先生による見取りにヒントを得て、次は大学の教授に入っていただくことにチャレンジしたいと思っています。
取り扱うテーマに関する有識者を招くイメージです。そのような方々に実際に学校に来てもらうことは調整が大変だけれども、決まった時間にサイボウズLiveに参加してもらうだけですから実現できると感じます。

田内:同じ題材を扱っているほかのクラスや、他の学校と一緒に授業するといったことも十分に可能だと思います。

小澤:ICTの活用がさらに広がっていくことで教員の働き方も多様な時代になるかもしれません。
例えば、教師が特定の学校に所属するのではなく、フリーランスとして働き、志を同じにした人と学校をつくる。さらに時間と空間を飛び越えて、オンライン上で教育活動をするといったことも可能になるかもしれない、と思うのです。
今の社会ですと、複数の学校で働くには非常勤という選択肢しかなく、社会保険なども難しい。
でも、フリーアナウンサーのように、教師もどこかの所属事務所に入って、学校の垣根を超えて教育活動を展開できれば、新たなワークスタイルを社会に提言できるかもしれません。
特に、女性教員は出産や子育てなどのことで、職場への復帰について悩みを抱えている人もいます。そのような中で、教師の働き方を一から見つめ直すことは大切なことです。


生徒の声

サイボウズLiveを使ったアクティブラーニングの授業を受けている生徒さんに声をお聞きしました。

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理科コース 平岡さん(左)と三石さん(右)

サイボウズLiveを使って授業をするって聞いた時の印象は?

平岡:そもそもチャットしながら授業する経験がなかったので、普通に板書したり皆で話し合ったりする方がいいのではないかと思いました。

三石:日頃、宿題の連絡などでサイボウズLiveを使っていたので、どうやって使うだろうと興味があったし、楽しみに思いました。

実践してみてどうでしたか?

平岡:女の子とか、あまり発言ができていない子がいて、授業が終わった後に先生に質問に行く人がいるのですが、その人がその場で理解できるようになったのは良いと思います。

三石:少人数のグループでの実践では、板書していた時とあまり変わらないです。
ただ、先生が一人一人当てていくよりも、気軽に意見が出しやすいと思います。


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IBコース 平尾さん

サイボウズLiveを使ったアクティブラーニングの感想を教えてください

平尾:オンラインは便利だと思いました。ノートに書いているものって、言わないと誰もわかってくれないけれど、オンラインに書いていると、他の友達が自分の考えを見てくれる。
その友達の意見をもとに、もう一度自分の考えを再考することもできます。

試験前に見直すこともありますか?

平尾:良い意見を書く人がいて、サマリーみたいになっているので、試験前にそれを見直します。ノートを共有している感じです。

他に感じたことはありますか?

平尾:発表の仕方がうまいな、まとめ方がうまいな、タイピング技術がすごいな、など、今まで見えていなかった友達の姿が見える事があります。



サイボウズLiveを使ったアクティブラーニングは始まったばかり。立命館宇治高校の動きを今後も追っていきたいと思います。

2016年2月3日
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