導入事例

品川女子学院 ICT教育推進委員長 酒井春名先生

生徒会や文化祭の情報共有にサイボウズLiveを利用

品川女子学院 ICT教育推進委員長 情報科主任 酒井春名先生
このエントリーをはてなブックマークに追加
cap0.jpg
(品川女子学院 教育目標)

品川女子学院(通称 品女)は「社会で活躍する女性を育てたい」という教育哲学を持ち、80年以上続く女子教育の歴史がある中高一貫校だ。現代も建学の精神は変わらず、『女の子が幸せになる子育て』『女の子が幸せになる授業』などの人気著書のある6代目校長 漆紫穂子氏のスピード感あるリーダーシップのもと、「28歳になったときに、社会で活躍している女性を育てる」という「28project」を進め、出産の機会を持つ女性ならではのライフ・ワークバランス教育に取り組んでいる。

また近年は、文部科学省が定める国際的に活躍できる人材育成を行う学校「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」に指定されるなど、現代東京の女子教育を牽引する実力校として教育界のみならず実業界からも熱い注目を浴びている。さらにその品女が最近また世間の度肝を抜いたのは、高校1、2年生に一台ずつiPadを導入したという件。生徒会委員会やクラブ活動、クラスや授業での情報共有に大活用されているというから、大人もびっくり、うらやましいくらいである。

さて、そんな先進的な品女が、日々の学校活動にサイボウズLiveを導入してくれているのだとか。うれしい!ということで、品川女子学院 情報科主任 酒井春名先生にお話をうかがった。

学校は、勉強だけする場所ではないーー組織的な意思決定を学ぶ女子生徒たち(!)

品女は高校1,2年生が一台ずつiPad を持っているということが話題になりました。中庭に薔薇が咲くこの品女とiPadというギャップが新鮮でもあるのですが、生徒たちはどのようにiPad を活用しているのですか? 授業などでしょうか?

授業にも使います。教室にWiFiが導入され、例えば授業中に教師が生徒たちの意見をライブで集めて、教室のプロジェクタで紹介しながらディスカッションを進めるといった取り組みも行っています。
クラウドのリアルタイム共同編集には、新しい良さがあると思うのです。教室で、手を挙げて発言すると声の大きい子だけが注目されがちですが、リアルタイム共同編集ならそうでない子のいい意見もちゃんとピックアップされます。

宿題の配布や指示も行うことがあります。ただ、学校とは勉強だけするところではなく、組織的な、小さな社会の単位の中での意思決定を学ぶ場所でもあるんですね。特に委員会活動やクラブ活動などの組織的な活動、つまり生徒たちが何かを決めて作り上げていく作業の中で、サイボウズLiveがとても役立っています。

学校は、生徒も教員も忙しい。情報共有は「お互い時間のあるときに見られるオンラインで」が最適解

それまではどのように学校での情報共有を行っていらっしゃったのですか?

以前、生徒との連絡はメールで行っていた時代もあるのですが、まず管理が面倒なんです。学校生活というのはとにかく連絡事項が多いので、すぐに情報が埋もれてしまう。何かプラットフォームが必要だね、ということでEvernoteを使い始めました。ただ、Evernoteはどちらかというと情報を集積しておくには便利なのですが、集団のコミュニケーション向きではない。そこでいろいろなサービスを試してみて、生徒会役員での情報共有にサイボウズLiveを使い始めて、情報を流してみたんです。それがとても良かったので、iPad 導入とともにサイボウズLiveを連絡プラットフォームとして導入しました。

いま、サイボウズLiveでは生徒さんとはどのような連絡をされているのでしょうか。

諸連絡全般といっていいですね。Evernoteに課題を入れておいたから見ておいてね、や、提出催促などのリマインダです。 現代の女子生徒たちにはLINEというものがあって、何でも直前にLINEで確認し合うんです。それが彼女たちにとって常識だから、みんな予定を覚えていないんですよ!(笑)ですから、メールよりもよりSNS的に情報がリアルタイムで投げ込まれるサイボウズLiveのような仕組みのほうが、彼女たちにも便利なんですね。

それと、私は高3の担任ですが、受験学年なので生徒との連絡事項が多いんです。特に夏休みは、それぞれ個人的な作業(受験勉強)で孤独になるといけないので、近況を共有したり、ぼーっとしていないようにハッパをかけるようなメッセージを送ります。それと、夏休みは教員の出勤日がイレギュラーなので投げて(ポストして)おくんです。生徒たちからの返信は軒並み「イイね」だけですけどね。(笑)

委員会でも使用します。各役職から情報を投げたり、例えばiPad 導入後に生徒側に「タブレット検討委員会」というのが設立されてiPadの使い方を検討しているんですが、昼休みに委員会があるんですね。ですから、宿題としての議題をポストしてこの日のこの時間までに返信してねと書いておくと、子どもたちが意見を投げ返してきます。

cap1.png
酒井先生が利用しているグループ。左メニューではフォルダ分けしたたくさんのグループがあることがわかる。

会社と一緒ですね!(笑)

生徒の委員会活動というのは、時間の制約が大きいんです。授業と、放課後は部活動がありますから、使えるのは朝か昼休みのみ。ですから、こういうところ(オンライン)でそれぞれ時間のあるときに議論するのが有効なんです。顔を合わせなくても情報共有できるので、委員会では本当に役に立っていますね。

グループ分けが簡単。だから、生徒も先生、保護者ともそれぞれ細かくコミュニティを作って活用

使っていく中で、サイボウズLiveならではのシステム面のメリットはありましたか?

例えば生徒会>文化祭>XX係...というように、メーリングリストよりも細かく項目を立ててそこでやり取りを集積できるのが、とても助かります。項目立てができると、新しく途中編入してきた子も、「X番を見て参考にしてね」と伝えておけばこれまでの議論を遡れるんです。メールよりもずっと検索しやすいです。生徒会というグループは複数年継続で使われるグループで、メンバーの入れ替えも毎年必ず発生するものなので、管理者の変更やメンバーの入れ替えがしやすいのもいいですね。大所帯のクラブなどは、年度変わりにメンバー一覧から旧高3を抜かして新入生を入れていく作業はそれだけでも結構大変なんですけど...

shinajocap2.png
「白ばら祭」のシフト調整。OKは「いいね」、Noはメッセージで連絡と、サイボウズLiveの機能をフルに使っている。

保護者との連絡や連携はどのように行っておられますか?

当校の文化祭「白ばら祭」で、起業体験プログラムというのがあります。9月の白ばら祭に向けて、準備は4月から始まり、クラス単位で起業に取り組みます。生徒による模擬店は会社として起業され、ベンチャー企業、司法書士・税理士・会計士など実際に社会で活躍する保護者の方々の協力を得ておこなわれ、参加プロセスすべてが学習です。実際の起業と同様の本格的な手順を踏み、株式会社を設立します。審査員役の保護者がVC役となり、事業計画の提出、会社の登記に始まり、プレゼンテーション、文化祭当日の販売を経て、最後は株主総会をして会社を解散します。

そのサポート委員として、専門的な知識を教えていただける保護者に評価していただくのですが、皆さんそれぞれのお仕事の合間に手伝ってくださるので、面と向かって会う時間はあまりないので、教員とのやり取りは基本サイボウズLive上で行っています。様々な視点を交えながら、その事業がどのような評価に値するのかを真剣に話し合って、一緒に作り上げている感じです。

学校から保護者に声をかけるという姿勢も、先進的ですよね。

たまたまかもしれませんが、保護者の中に専門家が多いのです。医師弁護士や会計士、今をときめくIT企業の広報部長などもいらっしゃいます。そういう素晴らしい人的資源を生徒たちのために活用したい。生徒たちにお話をしていただくだけでも、全般的な進路学習にると思いますし。サイボウズLive上では、保護者と教員の間でスレッドがきちんと立っていて、教育や日本の未来について「超」熱い議論が交わされるんですよ。ICT長とは言え教員の私も、様々な業界の立場から発信される保護者の議論に本当に勉強させていただいています。こういった、異なる立場の人材間での情報シェアなども、グループウェアの醍醐味かもしれませんね。

反対や抵抗などの障壁は、意外にも「なかった」

くまなく大活用していただいているのですね! とはいえ、無料のツール、しかもクラウドサービスであるサイボウズLiveの導入に、抵抗はありませんでしたか?

サイボウズLiveは正規の連絡ツールとしては使っておらず、イントラネットとして使っているほうが正規のものになります。でも、イントラネットはクラウドじゃない、つまり職員室のパソコンでしか見られないので、外出先や自宅で見ることができず、不便だという声が教員の中から上がって、サイボウズLiveを使い始めたんです。クラウドなので、情報取り扱い規定に沿って、例えば成績表などの個人情報は上げないなどのルールがあります。名前ならパスワードで保護して上げることもありますが、学校名は入れません。そのあたりは規定をきっちりと決めてあります。

生徒さんが授業ノートを取って欠席者に見せるなどの共有も、可能性としてあるかと思うのですが、そういった問題は?

彼女たちは情報授業を受けて、著作権は理解しています。ですから、「参考書の共有はまずいよね」という話などはしています。ある意味、情報リテラシーやモラルとは、実地で、これはいいのかどうか、と自分で考えながら身につけていくというものだと思うのです。

品女の情報教育は東京の進学校、中でも女子校として非常に先進的と言えると思うのですが、保護者からのITアレルギーはありませんでしたか?

それに対するアレルギーは少ないように思います。子どもたちがこれから出て行く社会において、ITは彼女たちにとって当然のスキルです。IT化をすすめることで、当校の教育の質も上がり、情報共有のおかげで先生のスキルも上がっていく。そうやって、IT化によってお返しできるものが大きいという話をするんです。iPad の導入時も、抵抗感のある人たちもいらっしゃったのですが、教育とは全部が全部学校教育だけではないので、ぜひご家庭でも使用ルールを決めてくださいとご説明しました。

こういったことは、入学時点で説明ができているので、みなさん同意してくださり、合意が形成されているのです。 保護者のみなさんには、入学時に当校のPTAサイトのログインアカウントを持っていただいて連絡などを行いますが、そういったことにも抵抗はありません。むしろ、ITは現代は保護者自身が仕事で使っていることも多く、今の時代はITを使えないことの方が学校にとってリスクとなるのかもしれません。

自己発見の手助けになるようなポートフォリオを作りたい

今後、サイボウズLiveなどのITツールで実現したいことはありますか?

子どもが各自の在学中のポートフォリオをクラウドで記入していって、そこに自分は何をやってきたか、その頃どういう思考をしていたかなどを残してあげたいです。「自分って何だろう」という、思春期ならではの自己発見をしたり、将来自分が何になりたいかを考える時の一つのヒントにしてほしい。そんなツールとのつきあい方ができたらいいなと思っています。

2015年10月2日
トップへ戻る